みんなえらいよほんと

座右の銘はせっかくだから

ハッピーエンドになりたい

最近、「満腹ってむしろ不幸じゃない?」という話をよくしている。

 

「お腹いっぱい!!」の後の身体も気持ちも重たい感覚、めっちゃ悲しくないですか???

 

ちょろっと何品かつまみを食べて二杯くらい飲んだ帰りに、「いや、足りないぞこれ」とカップ焼きそばなんかを買い足して改めて食べてる途中で、「いや、キツいぞこれ……」と後悔することをこの前初めて経験してから、満腹になるたびにそう感じてしまっている。

 

なにが「いや、」だ。

さっきまでの自分の感情を否定してまで新たに歩んで道のりで失敗しているという愚かさも相まって、なんとまあ惨めなことか……。それが成功するのはきっと「プロフェッショナル 仕事の流儀」だとか「情熱大陸」だとか「ガイアの夜明け」に出演する一部の方々だけに違いない。

違いは計画性だ。もしかしたら満腹となるタイミングで冷凍保存したり明日の朝ごはんに回せるものを買っておくような計画性さえあれば、心の「情熱大陸」に出演してもいいだろう。

満腹になったタイミングで、【まだ食べるか?明日にまわすか?】を悩むシーンにヴァイオリンのあの旋律が流れ(「プロフェッショナル」であれば【】部分が真っ黒背景にポーン……と白字で出てくるだろう)、紆余曲折経てついに冷凍保存したものを翌日解凍して美味しく食べているときに「Etupirka」が流れてそのままスタッフロールからのエンディングだ。美しすぎるハッピーエンド。

 

もとより少食なのだ。

ほとんどのものは普通・並盛で十分だし、サイドメニューも必要ない。家系ラーメン屋さんでよくあるライス無料なんかは見え見えの地雷だし、むしろチャーシューや味玉を足すことすら冒頭の小さな伏線を回収するかの如く食べ終わる間際に巧妙な罠となり得る。

浴槽で目覚めたときに鍵が水と共に吸い込まれるSAWのワンカット目の演出、すごかったよな。

 

「明日はこれをしよう」が眠気にかまけてなかなか出来ないように、空腹に対してはしっかり毎日抗いようもなく馬鹿になってしまっている。

そもそも空腹時におけるあの無敵感はなんなんだ。

マリオシリーズにおけるスター、カービィの無敵キャンディ、無双乱舞……。

いずれにしても無敵時間は突然パッと切れるものだ。最悪なのは敵に囲まれてる途中に切れることであり、メインを最後に食べようと楽しみにとっといた段階で訪れる残酷なタイミングもあったりする。

「あと一口じゃん!勿体ない!」と自分も言ってしまいがちだけど、気をつけよう……。無敵時間が切れてしまって、なんならHPもMPもきっと底をついているのだ。むしろそこまでの健闘をいたわるべきなのだ。よく食べた。えらい。おしゃれなカフェのタコライスが少量なように、ふらっと入った定食屋の普通盛りで思ってもいなかった大盛と出会ってしまうこともある。余力があるやつが箸を伸ばせばよい。それならみんなハッピーだ。

 

人間とは過ちを繰り返す生き物なのだ……と思いながら、重たさに加えてゴロゴロしだしたお腹をさすって飲食店を去ることをどうにかしたい。

 

"ちょうどいいところでやめられる人がハッピーエンドよ"

大森靖子 / ノスタルジックJ-POP)